立教大学社会デザイン研究所 大和ハウス工業株式会社寄付講座 文化の居場所を考える

講座

#1:公園/広場

7月2日(月)18:30~

場所:立教大学池袋キャンパス7号館7101教室

1873年太政官布告から2017年P-PFIまで
日本の公園の150年

講師町田誠
国土交通省 都市局
公園緑地・景観課 課長

モデレーター高宮知数
立教大学
社会デザイン研究所
研究員

ゲスト泉山塁威
東京大学先端科学技術研究センター助教/一般社団法人ソトノバ共同代表理事・編集長

レポート

1873年太政官布告から2017年P-PFIまで日本の公園の150年

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公園とはどういうものでしょうか?

公園とは何でしょうか。江戸時代には公園という制度はそもそもなく、明治新政府になってから、国有地等の税収に繋がらないような土地に開設する「公園」という仕組みが始まりました。国で土地を管理することが難しくなった政府は、地方公共団体に公園という形で土地を管理させようとします。ところが、地方公共団体も公園を管理するような財源が十分でないため、民間に土地を貸し、売上の一部で管理費を賄うという方法が成立していきました。つまり、もともと公園は民間の収益を上げる施設と一緒に始まった制度であるということです。こうした事実を前提にしている都市公園法は本来とても柔軟な法体系と言うこともできます。
例えば、民間企業であっても公園施設を(現実的には、役所の庁舎・病院・レジデンス・住宅・オフィス等以外の施設)を公園の中に作ることができ、さらに指定管理者制度により法人格を持っている人たちが地方自治体に代わって公園を管理していたりします。

その後、平成22年には、もともと行為規制が多かった河川や道路では、法改正や規則の改正によって、多くの規制緩和が起こりましたが、規制の緩かった公園では特段の措置を講じませんでした。こうしたこともあり、「法規制の中で市民や企業のニーズに対応できない都市公園」というような認識が広まっている現状もあり、公園がヨーロッパの観光広場的な都市空間のような使われ方をされていないという実態があります。もともとの制度の中で、池袋の西口公園や、上野公園などは改良が行われ、民間企業の力を借りてカフェやレストランを設置する事例が出はじめ、平成29年の都市公園法の改正によって、このような改良が全国で進められる手続きを定め、さらに規制緩和等を行いました。

公園を使い倒す‐空間のデザインから時間のデザイン‐

公園の敷地面積はこれまで増加を続け、現在では全国に12万ヘクタール以上にも上ります。昨今では、少子高齢化が進み、今後、税金の大幅な増額の見込めない下で、こうした社会資本を良好な状態で管理していくのが非常に困難であるという問題があります。こうしたことから、これからは、公園の民間の利用を進め、利用者を増やすことで公園をまちの賑わいの拠点にしていくことが必要だと考えています。これまで面積を指標として公園の整備を進めてきましたが、ただ、そこにあるという以上の社会的効用を果たさないような公園は町の不良資産になってしまいます。一方で、豊かな生活時間、暮らしの幸福度を高めるような公園は、街のベネフィットセンターとして評価され、再投資も可能になるという好循環を生み出します。公園のための公園ではなく、人が多く集まり、都市生活者が「この公園があるから私の都市生活が豊かなものになるのだ」と思えるような公園を数多くつくりだしていくことが大切であり、「ハードをつくる、箱をつくる、広場をつくる」という発想から、「人々の豊かな生活時間をつくる」という発想に変え、空間のデザインから時間のデザインへ転換していくことが必要です。そしてこれが結果的に公園を文化的な場所にするのではないかと思います。

(前職 国土交通省 都市局 公園緑地・景観課長 町田誠)


文化の居場所としてのパブリックスペースとは

公共空間と言うと行政が所有または管理している道路・公園・河川等をイメージされる方が多いと思いますが、パブリック本来の意味からすると、民間が持っている空き地やオープンスペース等も含めてパブリックだと思っているので、私は公共空間と呼ばずにパブリックスペースと呼んでいます。
また、パブリックスペースはまちづくりの観点からも重要で、屋外空間は「街の個性が表現される舞台」です。
ですので、そこを魅力ある豊かなものにしていくことが街の価値を高めていくことにも繋がります。
今回のテーマである「文化の居場所」は私の言葉で言えば「パブリックライフ・都市生活」に近いと思います。
このパブリックライフは賑わいや、イベントではありません。
平日やイベントのない休日に、何気なく過ごせる場所が重要です。

そのような場所は、滞在時間が長くなり、リピーターが増加していきます。
私が理想だと思う場所の一つにニューヨークのブライアントパークがあります。
風景には、建築などのハードな空間をベースに人が場を設えるというソフトな要素も含まれていますが、ブライアントパークは1年の中で1日、2日でなく365日、読書や会話、食事と、多様な活動が行われていて、「人が主役となった風景」がある場所になっています。

パブリックスペースでの近年の動き

最近は、パブリックスペースが注目を集める一方で、公共空間の規制緩和が行われています。例えば北海道旭川市の旭川平和通買物公園の歩行者天国の社会実験や、1990年代、2000年代の道路上でのオープンカフェなど、国の規制緩和が行われたことで、公共空間がどんどん使いやすくなってきていると感じています。特に道路では社会実験を行うことで実績を作り、特例を受けるという流れがあります。その一つとしてタクティカル・アーバニズムというものがあります。これは米国のマイクライドン氏が提唱した概念で「長期的変化のための短期的アクション」です。実施例に、路上パーキングスペースを使った「パーキングデー」や「パークレット」というものがあります。これは専門家だけではなく、市民でもルールを守れば公共空間を使うことができるアクションとして広まりました。サンフランシスコ市では市民から始まったこのアクションを常設化するために政策にした事例があります。このように社会実験をしながら長期的な変化、常設設備に繋げていこうという動きが、ここ数年で非常に増えています。一方で民間が公園に参入することは良い流れであるということを前提として、パブリックは公共性だけではなく、様々な社会的課題を包含するので、自治体側は「公共とは何か」を考え、公共性の評価を考慮する必要があります。公園や道路を人が集まる場所、自由な場所にしていくということが求められている今、それをどのようにして実現してくのかという実践が問われているのではないでしょうか。

(東京大学先端科学技術研究センター 助教 泉山塁威)

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お問い合わせ

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寄付講座・文化の居場所事務局
(月、水~金 11:00~18:00)
TEL/FAX:03-3985-4725
MAIL:ibasyo-kouza@rikkyo.ac.jp